【高校化学/理論化学】可逆反応と不可逆反応を8分で解説!

このページのまとめ

  • 可逆反応は、生成物が再び反応物に戻ることができる反応のこと。条件を変えると逆方向にも進む。
  • 不可逆反応は、一度生成物ができると、元の反応物に戻ることができない反応。
  • 可逆反応は工業的にも活用され、条件を調整して反応の進行方向をコントロールできる。

~先生と生徒の会話~

生徒

化学反応には一方向にしか進まないものと、逆方向にも進むものがあるって聞いたことがあるんですが、それって「可逆反応」と「不可逆反応」のことですか?

先生

その通りだよ!化学反応には「可逆反応」と「不可逆反応」の2つの種類があるんだ。まず、「可逆反応」というのは、反応が進んで生成物ができた後でも、条件によってはその生成物が再び反応物に戻ることができる反応のことを言うんだ。

先生

例えば、水が電気分解で水素と酸素に分かれる反応は、逆に水素と酸素を結合させれば再び水に戻ることができる。これは可逆反応の典型的な例だよ。つまり、反応が両方向に進むことができるんだ。

生徒

なるほど、反応が逆方向にも進むんですね!でも、そうじゃない「不可逆反応」っていうのは何ですか?

先生

「不可逆反応」というのは、反応が一方向にしか進まない反応のことだよ。反応物が生成物に変わったら、それ以上逆に戻ることができない反応なんだ。例えば、紙が燃えるとき、紙は燃焼によって二酸化炭素や水などに変わるけど、一度燃えた紙が元の状態に戻ることはないよね。これが「不可逆反応」だよ。

図1 可逆反応
生徒

ああ、確かに燃えた紙が元に戻ることはないですね。じゃあ、可逆反応と不可逆反応はどうやって区別できるんですか?

先生

一つのポイントは、反応が自然に戻るかどうかだね。可逆反応は、生成物が反応物に戻るための条件が揃えば、自然に逆方向の反応が起こることがあるんだ。例えば、炭酸飲料を開けると炭酸ガスが出てくるけど、キャップを閉めて圧力をかけると再び炭酸が水に溶け込むことがある。これも可逆反応の一例だね。

先生

一方、不可逆反応は、生成物が反応物に戻ることがないから、たとえどんな条件を整えても元に戻らないんだよ。

生徒

可逆反応って、ある意味で条件次第でリセットできる反応ってことなんですね。それに比べて、不可逆反応は一度進んだらもう戻れないんですね。

先生

その通り!だから、可逆反応は温度や圧力などの条件を変えることで、反応の進行方向を変えることができるんだ。これは工業的な反応でも重要な役割を果たしていて、生成物を効率的に作り出すために反応の条件をコントロールすることがよく行われているんだよ。

先生

例えば、アンモニアの合成では、反応条件を変えて反応を効率よく進めるために、可逆反応を利用しているんだよ。

生徒

アンモニアの合成って、ハーバー・ボッシュ法のことですよね?あれも可逆反応なんですね!

先生

そうだよ!ハーバー・ボッシュ法では窒素と水素を反応させてアンモニアを作るんだけど、この反応は可逆反応だから、反応条件を調整して生成物のアンモニアを効率よく作り出しているんだ。工業的に大量の化学物質を生産するとき、可逆反応の特性を活かすことがとても重要なんだよ。


例題&解答

【例題1】次の反応が可逆反応か不可逆反応か判断しなさい。
・2H2​+O2​→2H2​O

この反応は可逆反応です。酸素と水素が結合して水を生成する反応ですが、逆に電気分解で水を酸素と水素に分解することができるため、可逆反応です。

【例題2】木が燃焼して二酸化炭素と水が生成する反応は、可逆反応か不可逆反応か説明しなさい。

木の燃焼は不可逆反応です。一度木が燃えてしまうと、生成した二酸化炭素や水から元の木に戻ることはありません。

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この記事を書いた人

京都大学工学部工業化学科卒業。
過去に某有名学習塾にて化学科講師として勤務。対面授業,オンライン授業共にのべ2000人以上の生徒を指導し,多くを東大・京大・国公立医学部へ排出。