【高校化学/無機化学】クロムの性質について10分で解説!

このページのまとめ

  • クロム(Cr)は、周期表の6族に属する金属で、耐食性が高く、酸化しにくい性質を持っているため、ステンレス鋼やメッキに利用されています。
  • クロムは、クロム(III)イオン(Cr³⁺)とクロム(VI)イオン(Cr⁶⁺)の2種類のイオンを持ち、クロム(III)は安定しており、革のなめしや体内での代謝に関わる一方、クロム(VI)は強力な酸化剤でありながら毒性が強いです。
  • クロムの化合物には、酸化クロム(III)や酸化クロム(VI)があり、顔料や酸化剤としての用途があります。
  • また、クロムは錯イオンも形成し、化学反応や実験で利用されています。

~先生と生徒の会話~

生徒

クロムって、ステンレス鋼に使われているって聞いたことがありますが、どんな特徴があるんですか?

先生

そうだね、クロム(Cr)は周期表の6族に属する金属で、非常に硬くて、耐食性に優れている金属なんだ。特に、クロムは酸化しにくい性質があって、表面に酸化膜を作ることで内部の金属を守るんだよ。このため、ステンレス鋼などの合金に利用されて、錆びにくい性質を持たせているんだ。

先生

さらに、クロムは美しい銀白色の金属光沢を持っていて、装飾品やメッキにもよく使われているんだ。例えば、自動車のバンパーや水道の蛇口など、光沢があり、耐久性が求められる部分によくクロムメッキが施されているんだよ。

生徒

クロムが錆びにくくて、メッキにも使われているんですね!じゃあ、クロムの化合物やイオンについても教えてください。

先生

クロムには、主にクロム(III)イオン(Cr³⁺)クロム(VI)イオン(Cr⁶⁺)の2種類のイオンがあって、それぞれが異なる化合物を作るんだ。それぞれのイオンが持つ性質や用途も異なっているよ。

先生

まず、クロム(III)イオン(Cr³⁺)は、クロムが3つの電子を失った状態で、比較的安定しているんだ。このクロム(III)イオンを含む化合物の代表が、硫酸クロム(III)(Cr₂(SO₄)₃)なんだ。硫酸クロム(III)は、革をなめすための薬品として利用されていて、これを使った「クロムなめし」は、革製品の生産において非常に重要なんだよ。

先生

また、クロム(III)は人体にも微量必要で、糖代謝脂質代謝に関わる栄養素としての役割もあるんだ。

生徒

クロム(III)は革のなめしに使われるんですね!じゃあ、クロム(VI)イオンはどんな性質を持っているんですか?

先生

クロム(VI)イオン(Cr⁶⁺)は、クロムが6つの電子を失った状態で、非常に強力な酸化剤としての性質を持っているんだ。このクロム(VI)イオンを含む化合物の代表が、二クロム酸カリウム(K₂Cr₂O₇)クロム酸(H₂CrO₄)だよ。

先生

クロム(VI)イオンを含む化合物は、その強い酸化作用を活かして、工業や化学実験で酸化剤としてよく使われるんだ。例えば、有機化学でアルコールを酸化してアルデヒドやケトンを作るために利用されることがあるんだよ。

先生

ただし、クロム(VI)は毒性が強く、発がん性があることが知られているため、取り扱いには十分な注意が必要なんだ。特に、クロム(VI)の化合物が大気中に放出されると、人間の健康に悪影響を与えるため、環境への配慮も重要な課題なんだ。

生徒

クロム(VI)は酸化剤として使われるけど、毒性も強いんですね。じゃあ、クロムの酸化物についても教えてください。

先生

クロムの酸化物には、酸化クロム(III)(Cr₂O₃)酸化クロム(VI)(CrO₃)があるよ。これらはクロムがどの程度酸化されたかによって異なる性質を持っているんだ。

先生

まず、酸化クロム(III)(Cr₂O₃)は、緑色の固体で、非常に安定しているんだ。このため、顔料として利用されることが多く、特に「クロムグリーン」として絵の具や塗料に使われることがあるんだ。酸化クロム(III)は、耐熱性も高く、セラミックスや耐火材料の材料としても使われているんだよ。

先生

次に、酸化クロム(VI)(CrO₃)は、赤橙色の固体で、非常に強力な酸化剤なんだ。この化合物は、酸化剤としての用途が多いけれど、強い毒性があるため、特別な場面でしか使われないことが多いんだ。

生徒

酸化クロム(III)は安定していて、酸化クロム(VI)は酸化剤として使われるんですね。じゃあ、クロムの錯イオンについても教えてください。

先生

クロムも、錯イオンを形成することができるんだ。特に、クロム(III)イオン(Cr³⁺)は水分子やアンモニアなどと結びついて、安定した錯イオンを作ることができるよ。

先生

代表的な錯イオンには、ヘキサアクアクロム(III)イオン [Cr(H₂O)₆]³⁺があるんだ。この錯イオンは、クロム(III)イオンが水分子と結びついて、紫色の溶液を作るんだ。

先生

また、クロムはジクロム酸イオン(Cr₂O₇²⁻)としても存在していて、二クロム酸カリウム(K₂Cr₂O₇)の中に含まれるんだ。このイオンは強力な酸化剤で、特に化学実験や工業で使われることが多いんだ。


【例題1】
クロム(III)イオン(Cr³⁺)が水分子と結びついてできる錯イオンの名称と化学式を示しなさい。

【解答】

クロム(III)イオンが水分子と結びついてできる錯イオンはヘキサアクアクロム(III)イオンで、化学式は次の通り:

[Cr(H₂O)₆]³⁺

【例題2】
クロム(VI)イオンを含む代表的な化合物を1つ挙げ、その化学式と用途を説明しなさい。

【解答】

クロム(VI)イオンを含む代表的な化合物は二クロム酸カリウム(K₂Cr₂O₇)である。

この化合物は、強力な酸化剤として有機化学でアルコールを酸化する際に使われる。

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この記事を書いた人

京都大学工学部工業化学科卒業。
過去に某有名学習塾にて化学科講師として勤務。対面授業,オンライン授業共にのべ2000人以上の生徒を指導し,多くを東大・京大・国公立医学部へ排出。