このページのまとめ
- 平衡定数には2種類ある:濃度平衡定数(Kc)と圧平衡定数(Kp)。
- 濃度平衡定数は溶液や液体の反応に使い、圧平衡定数は気体の反応に使う。
- 濃度平衡定数と圧平衡定数は、気体定数や温度を使って相互に変換することができる。
- 温度が変わると平衡定数も変わる。
~先生と生徒の会話~

化学反応が平衡状態に達すると、反応物と生成物の濃度が一定になるって聞いたんですが、そのバランスが「平衡定数」で表されるんですよね?でも、平衡定数にはいくつか種類があるんですか?



その通り!平衡定数には、主に2つの種類があるんだ。「濃度平衡定数」と「圧平衡定数」だよ。まず、濃度平衡定数について説明しよう。濃度平衡定数(Kc)は、反応物と生成物の濃度の比率を表すよ。



例えば、次の反応を考えてみよう。
aA+bB⇌cC+dD
この場合、平衡定数は次の式で表される。





ここで、[A],[B],[C],[D]はそれぞれの物質の平衡時の濃度で、a, b, c, dは反応式中の係数を表しているよ。濃度平衡定数が大きければ生成物が多く、反応が進んでいる状態、逆に小さければ反応物が多い状態を示しているんだ。



なるほど、濃度平衡定数は液体や溶液の反応に使われるんですね!じゃあ、「圧平衡定数」っていうのはどういうものなんですか?



いい質問だね!圧平衡定数(Kp)は、気体の反応に使われるんだ。気体の反応では濃度ではなく、圧力が重要になるから、気体の分圧(部分的な圧力)を使って平衡定数を求めるんだよ。気体の分圧は、その気体が全体の圧力にどれだけ寄与しているかを示しているんだ。例えば、窒素と水素からアンモニアが生成される反応では、圧平衡定数は次のように表されるんだ。





ここで、PNH3,PN2,PH2,は各気体の平衡時の分圧を示している。濃度平衡定数と同様に、生成物の分圧が大きければ平衡定数は大きくなり、逆に反応物の分圧が大きければ平衡定数は小さくなるんだ。



ああ、気体の反応では圧力を使って平衡を表すんですね!液体や溶液の反応は濃度で、気体の反応は圧力で考えるってことですね。



その通り!そして、面白いのは、濃度平衡定数と圧平衡定数は関連しているという点なんだ。実は、ある反応について濃度平衡定数と圧平衡定数を互いに変換することができるんだよ。例えば、次の式を使って変換することができるんだ。
・Kp=Kc⋅(RT)Δn



ここで、Rは気体定数、Tは温度、そしてΔnは反応前後の気体のモル数の差だよ。この関係式を使って、温度やモル数の変化を考慮して濃度平衡定数から圧平衡定数に変換したり、逆に変換したりすることができるんだ。



そうなんですね!濃度平衡定数と圧平衡定数が変換できるなんて、知らなかったです。でも、温度によっても平衡定数は変わるってことですか?



そうだよ!平衡定数は温度に大きく依存するんだ。反応によっては、温度が上がると反応が進みやすくなって平衡定数が変わることもあるし、逆に温度が下がると平衡定数が変わる場合もあるんだ。だから、実験や工業的なプロセスで反応をコントロールするためには、温度と平衡定数の関係をしっかり理解しておくことが重要なんだよ。
例題&解答
【例題1】A+2B⇌2C
平衡時の濃度が[A] = 1.0mol/L、[B]=0.5mol/L、[C]=2.0mol/Lのとき、平衡定数はどうなりますか?
K=16.0
【例題2】2NO(g)+O2(g)⇌2NO2(g)
平衡時の分圧がPNO=0.2atm、PO2=0.5atm、PNO2=1.0atmのとき、圧平衡定数はどうなりますか?
Kp=50.0