このページのまとめ
- 浸透は、溶媒が半透膜を通って、濃度が低い方から高い方へ移動する現象。
- 植物の水分吸収や、私たちの体内の細胞の水分調整に浸透が関与している。
- 半透膜は、小さな分子(溶媒)だけを通し、溶質の移動を妨げる。
- 浸透圧は、溶液の濃度差によって生じる圧力で、体内のバランスに大きく関わっている。
~先生と生徒の会話~

水を飲んだり、植物が水を吸収したりするのって、日常的なことだけど、どうして水が自然と移動するのか不思議に思ったことがあります。それって「浸透」に関係しているんですよね?



そうだね。「浸透」は、自然界で非常によく見られる現象で、日常生活でもたくさんの場面で起こっているんだ。浸透とは、溶媒が半透膜を通って、濃度が低い方から高い方へ移動する現象のことを指すんだ。例えば、植物の根が土の中から水を吸い上げるときや、私たちの体の細胞が水分を取り込むときにも浸透が関わっているんだよ。



濃度が低い方から高い方へ移動するんですね。でも、どうしてそんなことが起こるんですか?普通、物質は濃度が高い方から低い方へ拡散するイメージがあるんですが。



確かに、通常は物質は濃度の高い方から低い方に向かって移動するよね。これは「拡散」と呼ばれる現象だ。でも、浸透の場合は、半透膜という特殊な膜が関わってくるんだ。半透膜は、小さな溶媒の分子(水分子など)だけを通すことができるけど、溶質(塩や糖など)の大きな分子は通さないんだ。この膜を通じて、溶媒だけが移動することで、濃度を均等にしようとするんだよ。





ああ、半透膜がポイントなんですね!じゃあ、例えば砂糖水が入った袋を水に浸けると、その水が袋の中に入っていくってことですか?



そう、その通り!袋が半透膜でできていると仮定すると、水が外から袋の中に浸透していくんだ。これは、袋の中の砂糖水の濃度が外の水よりも高いから、濃度のバランスを取るために水が袋の中に移動するんだよ。このとき、袋の中の水の量が増えて、袋が膨らむことになる。



なるほど、浸透によって水が移動することで濃度のバランスが取られるんですね!それって植物の水分吸収も同じ仕組みですか?



そうだよ!植物の根は半透膜のような性質を持っているから、土の中の水が根を通じて吸収されるんだ。植物の中では、根の細胞が周りの土よりも濃度が高くなっているので、土の水が自然に根の中に浸透していくんだ。これによって植物は水分を得て成長するんだよ。



浸透って、私たちの体にも関わっているんですね。細胞の中でも浸透が起きているんですか?



その通り!人間の細胞も半透膜を持っているから、細胞の中と外で水分のやり取りが浸透によって行われているんだ。例えば、細胞外の塩分濃度が高くなると、細胞内の水分が外に出ていってしまい、細胞がしぼんでしまうこともあるんだ。逆に、細胞外の水分が多すぎると、細胞が水を吸いすぎて膨らんでしまうこともあるんだよ。



それって、体のバランスを保つためにすごく大事な仕組みなんですね!浸透圧っていうのも、浸透に関係しているんですか?



そうだね、浸透圧はまさに浸透の力を表すもので、溶液中の溶質の濃度差が大きいほど、浸透圧も高くなるんだ。浸透圧は、溶媒が半透膜を通じて移動するときの圧力なんだよ。だから、体内の浸透圧のバランスが崩れると、体に悪影響が出ることがあるから、しっかりとした管理が必要なんだ。
例題&解答
【例題1】塩水を入れた半透膜の袋を水に浸けた場合、水はどのように移動するか説明しなさい。
水は、塩水の濃度が外の水よりも高いため、外から袋の中に浸透し、濃度のバランスを取ろうとします。これにより、袋の中の水の量が増えます。
【例題2】人間の細胞が塩分濃度の高い環境に置かれた場合、細胞はどのように変化するか説明しなさい。
細胞外の塩分濃度が高い場合、細胞内の水が外に浸透し、細胞は水分を失ってしぼんでしまう可能性があります。