このページのまとめ
- 凝固点降下は、溶質を溶かすことで溶媒の凝固点が下がる現象。
- 溶質が溶媒の分子の結びつきを邪魔するため、より低い温度で凝固が起こる。
- 冷却曲線は、物質が冷える過程を表し、凝固点で温度が一時的に一定になる。
- 溶質があると、冷却曲線の凝固点が下がり、凍り始める温度が低くなる。
~先生と生徒の会話~

寒い日に道に塩を撒いているのを見かけたことがあるんですが、あれってどうして塩が役立つんですか?塩を撒くと、凍りにくくなるって聞いたんですが、それが「凝固点降下」に関係しているんですか?



そうだね、その現象はまさに「凝固点降下」と関係があるんだ。凝固点降下というのは、溶質を溶媒に溶かすと、その溶媒の凝固点(つまり凍る温度)が下がる現象のことだよ。だから、道に塩を撒くと、氷ができる温度がもっと低くなるんだ。



なるほど!水は通常0℃で凍るけど、塩を溶かすともっと低い温度でないと凍らなくなるんですね。どうしてそんなことが起こるんですか?



それは、溶質が溶けることで、溶媒の分子が規則正しく固まるのを邪魔するからなんだ。純粋な水では、分子が整然と並んで氷を作ることができるけど、そこに塩が加わると、水分子同士がうまく結びつけなくなる。その結果、凍るためにはより低い温度が必要になるんだ。これが「凝固点降下」だよ。



ああ、溶質が水の中で邪魔をするから、氷ができにくくなるんですね!じゃあ、他の溶質でも同じことが起こるんですか?



そうだね。砂糖やアルコールでも同じ現象が起こるよ。ただ、溶質によってその効果は違ってくるけど、基本的にはどんな溶質でも凝固点を下げることができるんだ。たとえば、車のウィンドウォッシャー液に使われているエチレングリコールも、凝固点降下の効果を利用しているんだよ。



それで、エンジンが凍らないようにするために使われているんですね!じゃあ、凝固点降下ってどうやって計算するんですか?



凝固点降下も、沸点上昇と同じように質量モル濃度に比例して起こるんだ。計算式はこうだよ:





ここで、ΔTは凝固点の降下、kfは溶媒の凝固点降下定数、mは質量モル濃度だよ。つまり、溶質の量が多いほど、凝固点が下がるんだ。



なるほど、モル濃度で計算するんですね!じゃあ、凝固点降下と関連して「冷却曲線」っていうのもあるって聞いたんですが、それは何ですか?



冷却曲線は、物質が冷える過程をグラフで表したものだよ。温度が時間とともにどのように変化するかを示しているんだ。たとえば、水を冷やしていくと、まず温度がどんどん下がるけど、0℃になるとしばらく温度が一定になる。この一定の時間が、水が氷になる過程、つまり凍っている間なんだ。凍り終わった後、また温度がさらに下がり続けるんだよ。



ああ、だから液体が凍り始めると温度がしばらく止まるんですね。面白い!じゃあ、凝固点降下が起こると、冷却曲線も変わるんですか?



その通り!溶質を溶かした溶液の冷却曲線は、純粋な溶媒と比べて凝固点が下がっているから、凍り始める温度が低くなるんだ。溶質が溶けている場合、凍るまでにもっと時間がかかることもあるし、凝固する過程も違う形で進むんだよ。





凝固点よりも低い温度になっている状態を過冷却と言うよ。冷却曲線でみるとわかりやすいから、よく覚えておこう。
例題&解答
【例題1】塩を水に溶かした場合、水の凝固点はどのように変わるか、凝固点降下の式を使って説明しなさい。
凝固点降下の式:ΔT=Kf⋅m
塩を溶かすと、凝固点降下定数Kfに比例して水の凝固点が下がり、0℃よりも低い温度で凍り始めます。
【例題2】純水と塩水を冷やした場合、冷却曲線にどのような違いが現れるか説明しなさい。
純水は0℃でしばらく温度が一定になり、その後氷に変わりますが、塩水は凝固点が低くなり、凍り始める温度が0℃よりも低くなります。また、凍る過程が異なり、冷却曲線もその影響を反映します。