【高校化学/理論化学】溶解のしくみを8分で解説!

このページのまとめ

  • 溶解とは、溶質が溶媒に均一に混ざり込む現象。
  • 極性を持つ溶質は、水のような極性溶媒に溶けやすい。
  • 相似の原則により、似た性質を持つもの同士は溶けやすい。
  • 溶解速度は、温度を上げたり、かき混ぜたり、粉状にすることで速くなる。

~先生と生徒の会話~

生徒

最近、授業で「溶解」っていう現象について学んだんですけど、実際にどうして物質が水に溶けるのかとか、その仕組みがいまいち理解できていないんです。溶解って単に水に物を混ぜるだけじゃないんですか?

先生

確かに、溶解って日常生活ではよく見かけるけれど、その背後には科学的な仕組みが隠れているんだよ。溶解とは、ある物質(溶質)が液体(溶媒)に均一に混ざり込んで、目に見えなくなる現象のことだよ。一番身近な例は砂糖や塩を水に溶かすことだね。溶解が起こると、溶質の粒子は溶媒の分子の間に入り込んで、完全に混ざり合うんだ。

図1 溶解
生徒

ああ、砂糖や塩が水に溶けるのは見たことがあります。でも、どうして水に溶けると目に見えなくなるんですか?

先生

それは、溶解すると溶質の分子が小さな粒子に分かれて、溶媒の分子と均一に混ざるからなんだよ。例えば、砂糖を水に入れると、最初は塊のままだけど、水分子が砂糖の分子を一つ一つ取り囲んで、次第に小さな粒子に分かれていくんだ。そして、最終的には砂糖の分子が水の中に均等に分散することで、目に見えなくなるんだ。

生徒

なるほど!水の中で砂糖がばらばらになって、均一に混ざるんですね。でも、全部の物質が水に溶けるわけじゃないんですよね?

先生

その通り。溶解が起こるかどうかは、溶質と溶媒の性質によるんだ。特に「極性」という性質が重要なんだよ。水は「極性溶媒」と呼ばれるもので、水分子自体がプラスとマイナスの電荷を持っているんだ。だから、同じく極性を持つ物質、例えば塩や砂糖は水に溶けやすいんだよ。逆に、油のような「無極性」な物質は水に溶けにくいんだ。これを「相似の原則」と言って、似た性質を持つもの同士は溶け合いやすいという法則なんだ。

生徒

あ、そういえば油は水に溶けないですね。だから、水に浮いてしまうんですね!極性っていうのが溶解のポイントなんですね。

先生

その通り!油と水が分離するのは、油が無極性だからなんだ。無極性の物質は、水のような極性溶媒とは混ざり合わないんだよ。だから、油を水に入れても混ざらずに、表面に浮いてしまうんだ。逆に、アルコールのような物質は、水と似た極性を持っているから、水とよく混ざり合って溶けるんだ。

生徒

そうか、だからお酒は水に混ざるけど、油は混ざらないんですね。溶媒の性質が溶解の決め手なんですね。でも、溶解の速度を早くしたいときには、どうすればいいんですか?

先生

いい質問だね。溶解の速度を早くするためにはいくつかの方法があるんだ。例えば、温度を上げると、溶媒分子の動きが活発になるから、溶質が早く溶けるんだよ。だから、お湯で砂糖を溶かすと、冷たい水よりも早く溶けるんだ。あとは、溶質をかき混ぜたり、粉状に細かく砕いたりすることでも溶解を早くできるんだ。溶質の表面積が大きくなると、溶媒との接触が増えるから、溶ける速度が速くなるんだよ。

生徒

なるほど、かき混ぜたり、細かくしたり、温めたりすれば早く溶けるんですね。確かにお湯のほうがコーヒーに砂糖を入れるときに早く溶けますね。

先生

その経験がまさに溶解の仕組みを示しているんだよ。溶解は一見シンプルに見えるけど、その裏には分子の動きや極性といった重要な要素が隠れているんだ。


【例題1】極性を持つ物質が水に溶けやすい理由を説明しなさい。

水分子は極性を持ち、プラスとマイナスの電荷を帯びているため、同じく極性を持つ物質と引き合って溶解が進むからです。

【例題2】溶解速度を速くする方法を3つ挙げなさい。

・温度を上げる

・かき混ぜる

・溶質を粉状にする

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この記事を書いた人

京都大学工学部工業化学科卒業。
過去に某有名学習塾にて化学科講師として勤務。対面授業,オンライン授業共にのべ2000人以上の生徒を指導し,多くを東大・京大・国公立医学部へ排出。