このページのまとめ
- 全圧は、混合気体全体が持つ圧力で、各気体の分圧の合計で成り立つ。
- 分圧は、各気体がその容器の中で単独で存在すると仮定したときの圧力。
- ダルトンの分圧の法則:混合気体の全圧は各気体の分圧の合計に等しい。
~先生と生徒の会話~

最近、気体の性質について学び始めて、「全圧」と「分圧」という言葉に出会いました。でも、全圧と分圧ってどう違うのかがまだよくわかっていません。それぞれどういう意味なんでしょうか?



いい質問だね!全圧と分圧は、気体の性質を理解する上でとても重要な概念だよ。気体は単独の物質として存在することもあれば、複数の気体が混ざっていることもあるよね。例えば、空気は窒素、酸素、二酸化炭素などいろいろな気体が混ざってできている。このとき、全体の気圧を「全圧」と呼び、各気体がそれぞれの割合で全圧に寄与しているのが「分圧」なんだ。



なるほど!空気みたいにいくつかの気体が混ざっているとき、全体の圧力が全圧で、それぞれの気体が持っている圧力が分圧なんですね。じゃあ、分圧ってどうやって求めるんですか?



いいところに気づいたね!分圧は、各気体がその容器の中で単独で存在していると仮定したときの圧力なんだ。ダルトンの分圧の法則によると、混合気体の全圧は、各気体の分圧の合計で成り立っているんだよ。例えば、酸素、窒素、二酸化炭素が混ざっている場合、それぞれの気体が持つ圧力を足せば全圧が求められるんだ。式で表すと、Ptotal=PO2+PN2+PCO2 となるんだ。





分圧の合計が全圧になるんですね!ダルトンの法則、すごくシンプルでわかりやすいです。じゃあ、具体的な例で考えてみると、たとえば空気中の酸素と窒素の分圧はどのくらいなんですか?



良い質問だね。空気中には約78%の窒素と約21%の酸素が含まれているんだ。例えば、1気圧(101.3kPa)の場合、酸素と窒素の分圧はそれぞれ次のように求められるんだ。
・酸素の分圧はPO2=101.3kPa×0.21=21.3kPa
・窒素の分圧はPN2=101.3kPa×0.78=79.0kPa
こうして、各気体の割合から分圧が求められるんだ。全圧はもちろん101.3kPaで、これが酸素や窒素などの気体の分圧の合計になっている。



なるほど!全体の気圧があって、それぞれの気体が占める割合で分圧が決まるんですね。こう考えると、空気中の酸素が21.3kPaってことは、酸素だけでその圧力を作っているんですね。



そうだね。酸素単独で考えたときに、その圧力が21.3kPaになるということなんだ。ちなみに、この分圧の概念は、日常生活や科学技術のいろいろな場面で使われているんだよ。たとえば、酸素ボンベや潜水の際に使う空気の配合は、この分圧の概念を使って計算されているんだ。潜水では、酸素や窒素の分圧が重要な役割を果たしていて、適切なバランスを取ることで安全を確保しているんだ。



ああ、だからダイビングのときに酸素や窒素のバランスが重要って言われるんですね!分圧が深さによって変わるって聞いたことがありますが、それも関係しているんですか?



その通り!水深が深くなると、周囲の圧力が増えるから、気体の分圧も変わるんだ。例えば、深い場所では酸素の分圧が高くなりすぎてしまうと体に危険を及ぼす可能性があるんだ。だから、潜水士は酸素と窒素のバランスを考慮して、深さに応じた混合気体を使用しているんだよ。



すごく実生活に関わるんですね。気圧や分圧の知識がなければ、ダイビングなんてできないんですね。
例題&解答
【例題1】空気中の酸素と窒素の分圧を求めなさい(全圧101.3kPa、酸素21%、窒素78%)。
酸素の分圧:
PO2=101.3kPa×0.21=21.3kPa
窒素の分圧:
PN2=101.3kPa×0.78=79.0kPa
【例題2】容器の中に酸素と二酸化炭素が含まれており、全圧が150kPaであるとします。酸素の分圧が90kPaのとき、二酸化炭素の分圧を求めなさい。
全圧は各気体の分圧の合計に等しいため、
Ptotal=PO2+PCO2
150kPa=90kPa+PCO2
したがって、
PCO2=150kPa−90kPa=60kPa