このページのまとめ
- 沸騰は、液体内部から気体が発生する現象で、液体の蒸気圧が周囲の大気圧と等しくなったときに起こる。
- 標準大気圧では水の沸点は100℃だが、気圧が低いと沸点は下がり、気圧が高いと沸点は上がる。
- 気圧を変えることで、沸騰の温度を制御できる。
~先生と生徒の会話~

最近、家でお湯を沸かしているときにふと「沸騰」ってどういう現象なんだろうと思ったんですが、ただお湯が熱くなって泡が出るだけじゃなく、何か科学的な説明があるんですよね?



良いところに目をつけたね!沸騰は単なる温度上昇以上に、物理的な現象が関わっているんだ。まず、沸騰というのは、液体が気体に変わる現象で、液体の内部からも気体が発生する点が特徴なんだ。沸騰するためには、液体の蒸気圧が周囲の大気圧と等しくなる必要があるんだよ。これは、表面だけじゃなくて、液体全体が一斉に気化する現象なんだ。この図を見てみよう。





ああ、だから水を加熱していると、最初は表面から蒸発していて、そのうち内部から泡が出てくるんですね。それが沸騰ってことですか?



その通り!泡が出てくるのは、液体内部の分子が十分なエネルギーを得て、気体に変わるからなんだ。液体の内部で気体が発生し、その気体が上昇して液体の外に逃げることで、泡が見えるんだ。これが沸騰の瞬間なんだよ。例えば、水の沸点は100℃だけど、これは標準大気圧、つまり1気圧の下での話なんだ。気圧が違えば、沸点も変わってくるんだよ。



気圧が違うと沸騰の温度も変わるんですか?それは意外です!



そうなんだ。例えば、山の上では気圧が低くなるから、水の沸点は100℃より低くなるんだ。逆に、圧力鍋のように気圧が高い環境では、沸点が100℃より高くなるから、より高温で調理ができるんだよ。このように、気圧の違いによって沸騰の温度が変わるんだ。



なるほど、気圧も沸騰に関係しているんですね。でも、どうして気圧が低いと沸点が下がるんですか?



良い質問だね。液体が気体に変わるには、その液体の蒸気圧が外部の大気圧と等しくなる必要があるんだ。気圧が低いと、液体が気体に変わりやすくなるから、低い温度でも蒸気圧が大気圧に達して、沸騰が始まるんだ。反対に、気圧が高いと、液体が気体に変わるためにもっと高い温度が必要になる。だから、圧力鍋の中では水が100℃を超えても沸騰しないんだよ。状態図のときに学習した蒸気圧曲線を見てみよう。





あ、そういうことなんですね!沸騰ってただ水が熱くなれば起こるんじゃなくて、周囲の圧力にも関係しているんですね。



その通り!だから、沸騰は温度だけじゃなく、圧力のバランスも重要なんだ。実験室や工場でも、気圧をコントロールすることで、特定の温度で物質を沸騰させたり、反応を制御したりするんだよ。これが化学や工学の世界でとても役立つんだ。



それにしても、普段何気なく見ていたお湯の沸騰に、そんなに多くの科学が関わっているなんて驚きです!日常生活でも、ちょっと見方が変わってきそうですね。



そうだね、科学は日常生活のあらゆるところに潜んでいるから、少し意識を変えるだけで新しい発見がたくさんあるよ。これからもいろんな視点で身の回りの現象を観察してみてね!
例題&解答
【例題1】沸騰とはどのような現象ですか?また、標準大気圧下での水の沸点は何度ですか?
沸騰は、液体の内部から気体が発生し、その気体が液体の外に逃げる現象です。標準大気圧下では水の沸点は100℃です。
【例題2】山の上で水の沸点が100℃より低くなる理由を説明しなさい。また、圧力鍋では沸点が100℃より高くなる理由も説明しなさい。
山の上では気圧が低いため、液体の蒸気圧が低い温度でも大気圧に達し、沸点が100℃より低くなります。圧力鍋では気圧が高いため、液体の蒸気圧が大気圧に達するにはより高い温度が必要となり、沸点が100℃より高くなります。