【高校化学/理論化学】気液平衡・飽和蒸気圧を9分で解説!

このページのまとめ

  • 気液平衡は、液体が蒸発するスピードと気体が凝縮するスピードがつり合っている状態。
  • 気液平衡のときの気体の圧力を飽和蒸気圧と呼ぶ。
  • 飽和蒸気圧は温度によって変わり、温度が高いほど高くなる。

~先生と生徒の会話~

生徒

最近、授業で「飽和蒸気圧」という言葉を耳にしたんですが、どういうものかまだよく理解できていません。蒸気圧というのは聞いたことがあるんですが、「飽和」がつくとどう違うんですか?

先生

飽和蒸気圧、良いところに気がついたね!まず、蒸気圧というのは、液体が気化して気体になるとき、その気体が液体の表面で押し返す力のことだと覚えているかな?例えば、コップに水を入れておくと、その表面から水が気体になっていくけど、その水蒸気が液体の水に対して押し戻す力が蒸気圧なんだよ。

生徒

そうですね、蒸気圧が何かは理解できました。でも、飽和ってどういうことなんですか?

先生

「飽和」という言葉がつくと、少し具体的になるんだ。飽和蒸気圧は、液体が蒸発して気体になる過程で、一定の温度で気体と液体の間に平衡が生じたときの蒸気圧のことを指すんだ。この状態は、気液平衡と言うよ。言い換えると、ある温度で液体が蒸発していき、やがてその液体から蒸発する気体の量と、気体から液体に戻る量が等しくなるとき、そのときの圧力が飽和蒸気圧なんだよ。

図1 気液平衡
生徒

ああ、気体と液体がバランスを取っている状態ということですね!じゃあ、どうして「飽和」って言葉が使われるんですか?

先生

「飽和」というのは、これ以上蒸発が進まない、つまり飽和した状態という意味で使われているんだ。液体は常に蒸発して気体になろうとするけれど、ある温度で気体の量が限界に達すると、それ以上は蒸発できない。この状態を「飽和」と言うんだ。つまり、飽和蒸気圧は、液体がその温度で蒸発して限界に達したときの圧力だね。

生徒

なるほど!液体がこれ以上蒸発できない状態が飽和なんですね。でも、飽和蒸気圧って温度とどう関係しているんですか?

先生

そこが重要なポイントだよ!実は、飽和蒸気圧は温度に強く依存しているんだ。温度が上がると、液体の分子がより活発に動き、蒸発する分子の数が増えるよね。だから、温度が高いほど飽和蒸気圧も高くなるんだ。逆に、温度が低いと分子の動きが鈍くなるから、飽和蒸気圧は低くなるんだよ。

図2 飽和蒸気圧と温度
生徒

温度が上がると飽和蒸気圧も上がるんですね。つまり、暑い日は水がどんどん蒸発して、蒸気圧が高くなるってことですか?

先生

その通りだね。例えば、気温が高い夏の日には水が蒸発しやすくなるから、飽和蒸気圧も高くなるんだ。反対に、寒い冬の日は水の蒸発が遅くなるから、飽和蒸気圧は低くなる。これが蒸気圧と温度の関係なんだ。蒸発する量と凝縮する量が釣り合っているとき、蒸発は一見止まっているように見えるけれど、実際には両方の過程が同時に起こっているんだ。

生徒

そう考えると、日常でも飽和蒸気圧を感じることができそうですね。たとえば、お風呂の湯気とかもそうですか?

先生

そうだね、お風呂の湯気も飽和蒸気圧に関係しているよ。お風呂の中は湿度が高くて、空気中の水蒸気が飽和状態になりやすい。これ以上蒸発できない状態になると、気体としての水分が飽和してしまって、それが目に見える湯気として現れるんだよ。

生徒

それって面白いですね!実際に蒸発しているけど、それと同時に凝縮も起こっているなんて、科学的に考えると不思議な感じがします。


【例題1】飽和蒸気圧とは何ですか?また、それが温度とどのように関係しているか説明しなさい。

飽和蒸気圧は、液体が蒸発して気体になる過程で、蒸発する量と凝縮する量が等しくなったときの圧力です。飽和蒸気圧は温度が高いほど高くなり、温度が低いほど低くなります。

【例題2】夏と冬で飽和蒸気圧が異なる理由を説明しなさい。

夏は気温が高いため、液体の分子が活発に動き、蒸発が進むことで飽和蒸気圧が高くなります。冬は気温が低く、分子の動きが鈍くなるため、飽和蒸気圧は低くなります。

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この記事を書いた人

京都大学工学部工業化学科卒業。
過去に某有名学習塾にて化学科講師として勤務。対面授業,オンライン授業共にのべ2000人以上の生徒を指導し,多くを東大・京大・国公立医学部へ排出。