このページのまとめ
- トリチェリーの実験は、大気圧の存在を証明した実験である。
- 水銀を使い、大気圧が水銀を一定の高さで支える現象を観察した。
- この実験は、後に気圧計の発明につながり、現在でも気象や航空などで広く利用されている。
~先生と生徒の会話~

トリチェリーの実験って、授業で少し触れたんですが、どうしてこの実験がそんなに重要なのか、あまりよくわからなかったんです。何を発見した実験なんですか?



いい質問だね!トリチェリーの実験は、気圧の存在を初めて示した重要な実験なんだよ。この実験が行われたのは1643年で、エヴァンジェリスタ・トリチェリーというイタリアの物理学者が、どうやって空気が周囲に圧力をかけているのかを確かめるために行ったんだ。簡単に言うと、この実験によって「大気圧」という概念が生まれたんだよ。



大気圧の存在を証明したんですか?どんな方法で行ったんでしょうか?



トリチェリーは、水銀を使って実験を行ったんだ。まず、1メートルくらいの長さのガラス管を用意して、その中に水銀を満たして、片方を塞いでひっくり返すんだ。そして、そのガラス管を水銀の入った容器に立てると、ガラス管の中の水銀が少し下がって、途中で止まるんだよ。このとき、ガラス管の中の水銀が完全に下がらずに一定の高さで止まるのは、周囲の空気がその水銀に圧力をかけているからなんだ。





へぇ、そういう方法で気圧を証明したんですね。でも、どうして水銀なんですか?他の液体じゃダメだったんですか?



良い疑問だね!水銀を使ったのには理由があって、水銀は他の液体に比べて非常に密度が高いんだ。もし水銀じゃなくて水を使った場合、気圧に対抗してガラス管の中に水を保つためには、約10メートルもの高さの水柱が必要になってしまうんだ。水銀はその約13.6倍の密度を持っているから、1メートルの高さで同じ効果を得ることができる。だから水銀が選ばれたんだよ。



なるほど!だから水銀が選ばれたんですね。実験で水銀が下がって止まるというのは、空気がそれを支えているということなんですか?



その通り!実は、ガラス管の中の水銀が一定の高さで止まるのは、周りの大気が水銀を押し上げているためなんだ。この時のガラス管の中の空間は真空状態になっていて、外側の空気が水銀を押し下げないようにしているんだ。つまり、周囲の空気が「気圧」をかけて水銀を支えているわけだね。この現象を使って、トリチェリーは気圧を数値として測ることができるようになったんだ。



真空ってガラス管の中でできていたんですね!それで、気圧が水銀を支える力を見せたんですね。でも、この実験はどのようにして現在の科学に役立っているんでしょうか?



トリチェリーの実験によって、気圧の存在が明らかになり、それが後に「気圧計」の発明につながったんだ。実際、現在の気圧計の基本的な原理は、このトリチェリーの実験とほぼ同じなんだよ。ガラス管の中に水銀や他の液体を入れて、周囲の気圧がその液体にかける圧力を測るという仕組みだ。気圧計は、天気予報や飛行機の高度計など、さまざまな分野で使われているよ。



天気予報や飛行機の飛行高度にも関係しているんですね!トリチェリーの実験がこんなにも多くの分野に影響を与えているとは思いませんでした。



その通り。彼の実験がなければ、気圧という概念やそれを測る技術は発展していなかったかもしれない。トリチェリーの実験は、科学の歴史において非常に重要な位置を占めているんだよ。
例題と解答
【例題1】トリチェリーの実験で使われたガラス管に水銀が下がらずに止まるのはなぜですか?
ガラス管の中の水銀が一定の高さで止まるのは、周囲の空気が水銀に圧力をかけて押し上げているためです。
【例題2】トリチェリーの実験で水銀が使用された理由を説明しなさい。
水銀は非常に密度が高いため、約1メートルの高さで気圧に対抗できるからです。水を使うと約10メートルの高さが必要になります。