このページのまとめ
- 原子量:元素の同位体を考慮した質量の平均値。
- 分子量:分子を構成する原子の質量の合計。
- 式量:イオン結晶や無機物質など、分子でない物質の化学式に基づいた質量。
~先生と生徒の会話~

最近、原子量について学んでから、少しずつ化学の基本がわかってきた気がします。でも、原子量のほかに「分子量」と「式量」っていう言葉も聞いたことがあって、それぞれ何が違うのかがまだよくわからないです。



いい質問だね。原子量、分子量、式量はすべて「物質の量」を表すけど、それぞれ使う場面や意味が少し違うんだ。まずは、原子量のおさらいから始めようか。原子量は、元素の同位体を考慮した平均の質量だったよね。これは1つの元素に対する質量を表しているんだ。



そうですね、同位体の割合によって平均値が決まるんでしたよね。例えば炭素の原子量が12.01になるのは、炭素12と炭素13が混ざっているからでしたね。



その通り!炭素12が大部分を占めていて、炭素13がほんの少し含まれているから、相対質量の期待値をとって12.01という数字になるんだ。これが「原子量」だね。そして、次に「分子量」について話そう。分子量は、簡単に言うと「分子全体の質量」だよ。例えば、H₂O(水)を例にすると、水の分子は酸素と水素でできているから、それぞれの原子量を足し合わせて分子量を計算するんだ。酸素の原子量が16、水素の原子量が1だから、H₂Oの分子量は18になるんだよ。



なるほど、分子量は複数の原子が結びついた「分子」の質量を計算するんですね。じゃあ、式量っていうのは何ですか?



式量は、イオン結晶や無機物質のように「分子」ではない物質に対して使うんだ。例えば、塩化ナトリウム(NaCl)は分子じゃなくてイオンの結晶だよね。だから、この場合は「分子量」じゃなくて「式量」を使って質量を計算するんだ。NaClの式量を計算すると、ナトリウム(Na)の原子量が23、塩素(Cl)の原子量が35.5だから、NaClの式量は23 + 35.5 = 58.5になるよ。



分子量は分子に対して、式量はイオン結晶や化学式に対して使うんですね。少し整理できました。



そうだね、いい整理だよ。分子量は主に分子で構成された物質に対して使うんだけど、式量はそれ以外、例えばイオン結晶や複雑な無機物に対して使うんだ。この違いを理解しておけば、化学式や反応式を使って物質量を計算するときに間違えにくくなるよ。



なるほど、でも式量を使う場面ってどんなときなんでしょうか?



じゃあ、硫酸(H₂SO₄)を例に考えてみようか。まず、H₂SO₄の式量を計算すると、硫黄(S)の原子量が32、酸素(O)が16、水素(H)が1だから、H₂SO₄の式量は
H₂:1×2 = 2、S:32、O₄:16×4 = 64
これを全部足して、2 + 32 + 64 = 98g/molになるんだ。つまり、1モルの硫酸は98gということだね。



そうすると、反応式でモル数を考えるときにも、この式量を使って計算することができるんですね。化学の世界では、モルや質量を計算する場面が多いんだなぁと改めて感じます。



その通りだよ。化学の計算では、原子量、分子量、式量を使って物質の量を正確に計算することが大切なんだ。これが理解できれば、化学反応の規模や必要な物質の量をしっかり把握できるようになるよ。
例題&解答
【例題1】硫酸(H₂SO₄)の式量を計算しなさい。
H₂SO₄の式量は、水素の原子量1×2 = 2、硫黄の原子量32、酸素の原子量16×4 = 64
合計して2 + 32 + 64 = 98g/mol
【例題2】酸素分子(O₂)の分子量を求めなさい。また、32gの酸素分子が何モルかを計算しなさい。
酸素分子(O₂)の分子量は16×2 = 32
32g ÷ 32g/mol = 1モル
したがって、32gの酸素分子は1モル