このページのまとめ
- モルは物質の数量を表す単位で、1モルは6.022×10²³個の粒子を含む。
- 物質の質量とモル数の関係は、分子量を基に計算される。
- 化学反応のモル比は、反応する物質の量を正確に計算するために使われる。
~先生と生徒の会話~

今日は「物質量」について少し深く掘り下げてみようか。やっぱり慣れるにはもう少し具体例があった方がいいよね。



そうですね、モルは少し抽象的な感じがして、実際の物質とのつながりがまだピンと来ない部分があって…。もう少し身近な例があると、もっと理解しやすいかもしれません。



確かに。モルっていうのは、実はとてもシンプルなんだ。例えば、パンケーキを作るときに、材料をきっちり計るのと同じで、化学反応でも「どれくらいの物質が必要か」を計算するために使うんだ。化学では粒子の数が膨大だから、モルという単位を使って数を簡単にしているんだよ。アボガドロ数、つまり6.022×10²³個が1モル。これは、パンケーキの材料が「卵2個、小麦粉200g、ミルク100ml」みたいに、ちょうど良い分量を決めるための「基準」みたいなものなんだ。



なるほど、パンケーキの材料に例えると、モルが少し身近に感じられます。でも、アボガドロ数って、なぜそんなに大きな数なんですか?



それは、物質の粒子がとても小さいからなんだ。例えば、12Cを基準にして考えると、12Cの原子1モルの質量はちょうど12gになるんだけど、この12gの中にアボガドロ数の粒子が含まれているんだ。私たちが手にする物質の量ってとても大きいから、その粒子を1個ずつ数えるのは非現実的でしょ?だからこそ、アボガドロ数という大きな単位で数えているんだよ。



なるほど、そういうことなんですね。でも、実際に化学の反応を考えるときは、どうやってこのモルを使うんでしょうか?



そうだね、具体例を考えてみようか。例えば、日常的によく使う水(H₂O)を例にとるとわかりやすいよ。原子量は酸素(O)が16、水素(H)が1だから、H₂Oの分子量は18だよね。つまり、1モルの水は18gということになる。そして、その18gの中には、6.022×10²³個の水分子が含まれているんだ。もしも100gの水があったら、その水の中には何モルの水分子が含まれているか計算できるよね。



100gの水だと、100g ÷ 18g/mol で約5.56モルになるんですね。つまり、5.56モルの水分子があるってことですか?



その通り!だから、物質の質量とモル数を使えば、化学反応に必要な物質の量を正確に計算できるんだよ。これを使って、例えば化学反応のモル比も計算できるんだ。



わかりやすいです!でも、化学反応式でのモルの使い方はどうなるんでしょうか?



じゃあ、酸素(O₂)と水素(H₂)が反応して水を作る例を見てみよう。この反応式はわかるかな?



2H2+O2→2H2Oです!



そうだね。この式を見れば、2モルの水素と1モルの酸素が反応して、2モルの水ができることがわかる。つまり、モル比が2:1:2ということなんだ。このモル比を使って、もしも4モルの水素があったら、何モルの酸素が必要かも計算できるんだよ。



そうすると、4モルの水素には2モルの酸素が必要なんですね!そして、生成される水は4モルということですか。



その通り!これがモル比を使った計算なんだ。実際の化学では、これがとても重要な考え方で、反応の規模が大きくなると、さらに正確な計算が必要になるんだよ。
例題&解答
【例題1】72gの炭素には何モルの炭素原子が含まれていますか?
72g ÷ 12g/mol = 6モル
【例題2】36gの水があるとき、何モルの水が含まれているかを求めなさい。また、その水には何個の水分子が含まれていますか?
36g ÷ 18g/mol = 2モル
アボガドロ数を使って、2モルの水分子は
2モル × 6.022×10²³ = 1.2044×10²⁴個の水分子が含まれている。