このページのまとめ
- 分子間力は、分子同士が引き合う弱い力で、ファンデルワールス力や水素結合がその例。
- ファンデルワールス力は非常に弱く、すべての分子に働く力。
- 水素結合は、ファンデルワールス力よりも強く、水分子やDNAのように生命にとって重要な役割を果たしている。
- 分子結晶は、分子間力で固体になったもので、一般的に沸点や融点が低い。
~先生と生徒の会話

物質の性質を理解するときに大事なポイントの一つに、分子間力があるんだけど、これは分子同士が引き合ったり押し合ったりする力のことなんだ。例えば、氷が固体であるのも、水が液体であるのも、実は分子間力が大きく関係しているんだよ。



分子間力って、なんだか難しそうですね…。



確かにちょっと聞き慣れないかもしれないけど、仕組みはシンプルなんだ。分子の間に働く弱い力で、この力のおかげで分子同士がくっついたり、液体や固体になったりするんだ。例えば、水は液体だけど、分子同士が全く独立して動いているわけじゃなくて、実は分子間力で互いに引き合っているんだよ。



なるほど。じゃあ、水が固まったりするのも、この分子間力が関係しているんですね?



その通り!具体的には、ファンデルワールス力や水素結合といった力が働いているんだ。ファンデルワールス力は、すべての分子に働く、非常に弱い力なんだ。分子が近づいたときに、電子の分布がちょっと偏って、一時的に引き合う力が発生するんだよ。



ファンデルワールス力って、あんまり強くないんですか?



うん、ファンデルワールス力は弱いんだけど、例えばヨウ素のような分子間力が支配的な分子では、固体の状態で安定するんだ。ヨウ素は昇華性もあって、すぐに固体から気体に変わっちゃうことがあるでしょ?それも、分子間力が弱いからなんだよ。



なるほど!じゃあ、水の場合はどうなんですか?



水の場合は、ファンデルワールス力よりも水素結合という力が重要なんだ。水素結合は、ファンデルワールス力よりも強い力で、水分子の間で働いているんだよ。水素結合は、水の中で酸素原子が隣の水分子の水素原子と強く引き合うことで形成されるんだ。これが、水が液体の状態で存在できる大きな理由なんだ。この図を見てみよう。





水素結合ってそんなに強いんですね!他に水素結合が関係しているものってありますか?



そうだね。例えば、DNAも水素結合のおかげで二重らせん構造を保っているんだよ。水素結合は、分子の中で結びつきを強くする役割を持っていて、これが生命の基本構造を支える力にもなっているんだ。



すごい!水素結合って、私たちの体にも影響してるんですね。



まさにその通り!次に、分子間力が関わる現象の一つとして、分子結晶の沸点について話そうか。分子結晶は、分子同士が分子間力で結びついて固体になったものだよ。例えば、氷やヨウ素なんかが分子結晶の一例だね。この分子結晶は、分子間力が弱いので、一般的に沸点や融点が低いんだ。だから、氷はすぐに溶けるし、ヨウ素はすぐに昇華して気体になるんだよ。



分子間力が弱いから、沸点や融点が低いんですね!じゃあ、分子結晶が液体になったり気体になったりしやすいのは、分子間力が関係しているんですね。



その通り。分子間力が弱い分子結晶ほど、少しの熱で分子同士の結びつきが切れてしまうんだ。だから、分子結晶は他の結晶に比べて沸点が低いんだよ。逆に、イオン結晶や金属結晶なんかは、結合が強くて融点や沸点が非常に高いんだ。分子結晶の沸点の違いについて見ていこう。





分子の種類によって結晶の性質がこんなに違うなんて、驚きました!



化学の面白いところは、こういう小さな力が実際の物質の性質に大きく影響していることだよね。分子間力は、私たちの身の回りにあるものすべてに影響を与えているんだ。
例題&解答
【例題1】次のうち、分子間力によって結合している結晶はどれですか?
・氷(H₂O)
・塩化ナトリウム(NaCl)
・ヨウ素(I₂)
氷(H₂O)、ヨウ素(I₂)
【例題2】分子間力が弱い物質は、なぜ沸点や融点が低いのか説明しなさい。
分子間力が弱いため、分子同士の結びつきが簡単に切れてしまい、少しの熱で固体が液体や気体に変わりやすい。