コロイド溶液

今回のまとめ

このページでは、コロイド溶液について解説していきます。一般的に高校化学で溶液と言えば真の溶液のことを指しますが、一部では溶質が大きいコロイド溶液も扱います。コロイド溶液では真の溶液に見られない性質が多くあるので、それぞれしっかりと確認していきましょう。

目次

コロイド溶液とは

コロイド溶液の特徴

まず初めに、コロイド溶液とは何かについて解説していきます。多くの場合では溶質分子は溶媒分子と同じくらいの大きさか、もしくは少し小さい程度です。こうした溶液を真の溶液と呼びます。一方で、溶質分子が溶媒分子よりも極端に大きな溶液をコロイド溶液と呼びます。コロイド溶液における溶媒を特に分散媒と呼び、溶質を特に分散質と呼びます。これらをまとめて分散系と呼ぶこともありますので、覚えておきましょう。

スケールの比較

真の溶液とコロイド溶液の他にも、溶質の大きさによって溶液の呼び方が異なる例があります。コロイド溶液では溶質が完全に溶媒中に溶解していますが、これ以上溶質が大きくなると溶解することが難しくなります。溶解するギリギリの大きさの溶質が溶けている場合には懸濁液や乳濁液と呼びます。溶質が固体の場合には懸濁液、液体の場合には乳濁液となります。それ以上溶質が大きくなると、沈殿が生じます。

コロイド粒子の分類

親水コロイド

コロイド粒子の種類を見ていきましょう。親水コロイドは、親水性が高く、水によく溶けてコロイド溶液を生成します。親水コロイドの中でも分子コロイドと会合コロイドがあり、分子コロイドは分子1つでコロイド粒子になるもの、会合コロイドは複数の分子が集まって1つのコロイド粒子になるものを指します。会合コロイドはミセルという形をつくるので、ミセルコロイドとも呼ばれます。

疎水コロイド

次に疎水コロイドは、疎水性が高く、あまり水に溶けずにただ分散してコロイド溶液を形成します。そのため、疎水コロイドは分散コロイドとも呼ばれます。有名なものに水酸化鉄(Ⅲ)がありますが、これは沸騰水に塩化鉄(Ⅲ)水溶液を加えたのちにセロハンで透析することで得られます。セロハンには微小な穴が開いており、塩化物イオンのような小さな溶質は通しますが塩化鉄(Ⅲ)のようなコロイド粒子は通しません。そのため、セロハン内で濃度の高いコロイド溶液を生成することができます。

ゼラチン溶液の性質

身近なコロイド溶液であるゼラチン溶液について見ていきましょう。ゼラチン溶液は、液体のコロイド溶液の状態でゾルと呼ばれます。これを加熱することで半固体状のゲルと呼ばれる状態に変化します。さらにこれを乾燥するとキセロゲルと呼ばれる状態になります。多くのコロイド溶液でこのような変化が見られるので、覚えておきましょう。

コロイド溶液の性質

チンダル現象・ブラウン運動

ここからは、コロイド溶液特有の性質について整理していきます。まずはじめに、コロイド溶液に対して偏光を当てると、明線が現れます。この現象をチンダル現象と呼びます。これは、コロイド粒子が大きいために光を屈折することで明線が現れるものと考えられています。

次に、コロイド溶液を顕微鏡で観察すると、常に不規則に動き回っていることがわかります。このことをブラウン運動と呼びます。これは、大きなコロイド粒子が水分子によって押されて動くためだと説明されています。この現象はアインシュタインによって発見されました。

電気泳動

コロイド溶液に対して通電すると、陽極または陰極の方向に溶液が移動することがあります。この現象を電気泳動と呼びます。例えばセルロースは分子中にヒドロキシ基を多く持っており電離して負の電荷を帯びるので、負コロイドと呼ばれています。これらは通電すると陽極に引き付けられます。一方、水酸化鉄(Ⅲ)は陽イオンである鉄イオンが中心となっていることから正コロイドとして扱われ、通電すると陰極に引き付けられます。

凝析・塩析

コロイド溶液が示す性質において、凝析と塩析は非常に混同しやすいです。凝析とは、疎水コロイドの水溶液に対して少量の電解質を加えると沈殿が生じる現象を指します。一方、塩析とは、親水コロイドの溶液に対して多量の電解質を加えると沈殿が生じる現象を指します。凝析では電解質によってコロイド粒子同士の微小な反発が相殺され、凝集することに起因しています。塩析においては多量の電解質がコロイド粒子周りの水分子を引きはがし、凝集することに起因しています。

保護コロイド

疎水コロイドの周囲に親水コロイドを加えることで、保護コロイドという状態にすることができます。先述したように、疎水コロイドは少量の電解質を加えるだけで凝析してしまうため、非常に扱いが難しいです。そこで、実際には親水コロイドで周りを覆って保護コロイドとすることで凝析を起こしにくくする操作が知られています。

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この記事を書いた人

京都大学工学部工業化学科卒業。
過去に某有名学習塾にて化学科講師として勤務。対面授業,オンライン授業共にのべ2000人以上の生徒を指導し,多くを東大・京大・国公立医学部へ排出。

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