今回のまとめ

このページでは、液化する気体について解説していきます。高校化学では、気体の問題において液化しうる気体とそうでない気体とに分けて理解する必要があります。液化しない気体に関しては、別のページで解説したように状態方程式を用いることで計算をすることができます。一方で液化する気体では、飽和蒸気圧の概念を知っていなければなりません。このページで飽和蒸気圧についてよく理解しておきましょう。
飽和蒸気圧
液化する気体の扱い

一部の物質は沸点に達しなくても気体状態と液体状態を行き来することができます。例えば水の沸点は100℃ですが、常温で液体の水と水蒸気を共存させることができます。このように、揮発性があり、沸点以外の温度で気体と液体が共存しうる物質を高校化学では「液化する気体」として扱います。
液化する気体を密閉容器に閉じ込めると、気液平衡または全て気体の状態に落ちつきます。気液平衡とは、液体から気体に蒸発する速度と気体から液体に凝縮する速度が等しい状態です。このときの気体の圧力を飽和蒸気圧と呼びます。飽和蒸気圧以上の気体の圧力では凝縮が進んで飽和蒸気圧まで自動的に圧力が下がるので、実質的には飽和蒸気圧が最大の圧力となります。
飽和蒸気圧とは

飽和蒸気圧については、3点覚えておく必要があります。①飽和蒸気圧は気液平衡のときの圧力で、温度にのみ依存しています。温度が上昇すると飽和蒸気圧も大きくなります。②飽和蒸気圧は、気体として存在できる最大圧力です。飽和蒸気圧以上の圧力を作っても、気体が凝縮して自動的に圧力が下がります。③飽和蒸気圧は、液体が蒸発しようとする力の大きさを表しています。飽和蒸気圧が大きいほど、平衡状態において多くの気体が存在できることを示しています。
液化判定

液化する気体を扱う計算問題では、液化判定が重要となります。先述したように液化する気体は気液平衡または全て気体の状態に落ち着きますが、問題として見ている状態がどちらの状態なのか判定する操作です。
まずはじめに、容器内の物質が全て気体として存在していると仮定して、状態方程式を立てます。この状態方程式を解くことで、仮の圧力を計算することができます。次に、仮の圧力と当該温度での飽和蒸気圧を比較します。飽和蒸気圧は最大の圧力なので、これを仮の圧力が超えていれば仮定は誤りで、本当は気液平衡の状態になっています。一方、仮の圧力が飽和蒸気圧以下の場合には仮定が正しく、全て気体の状態で存在していることが分かります。
定圧容器の場合

ここまでは全て定積容器での解説を行ってきましたが、定圧容器についても見ていきましょう。定圧容器では、気体の圧力と外部からかかる圧力が等しくなっています。気体の圧力が飽和蒸気圧より小さい場合には、物質は全て気体として存在します。しかし、外部の圧力が飽和蒸気圧よりも大きい場合には気体が押しつぶされて全て液体になります。全て液体という可能性があることが先の定積容器の場合との相違点です。
蒸気圧曲線

先述したように、飽和蒸気圧は温度に依存して変化します。一般的には温度が上昇することで飽和蒸気圧が大きくなりますが、その変化を表したものが蒸気圧曲線です。蒸気圧曲線は物質の種類によって異なっており、それぞれの値を示します。
また、後述しますが大気圧と飽和蒸気圧が等しくなる温度が沸点になります。したがって、蒸気圧曲線のグラフからそれぞれの物質の沸点を求めることができます。
沸点とは

液体分子は常に一部が気体に変化していますが、飽和蒸気圧が大気圧よりも小さい場合には気泡が押しつぶされてすぐに液体に戻ってしまいます。しかし、飽和蒸気圧は温度を上げることで上昇させることができ、いずれ飽和蒸気圧と大気圧が等しくなります。このとき、液体中で生じた気泡が大気圧によってつぶされずに液面まであがって来ます。この現象を沸騰と呼びます。すなわち、沸点とは、飽和蒸気圧が大気圧と等しくなる温度です。