今回のまとめ

このページでは、気体の扱いについて解説していきます。まずはじめに単一の気体のみを計算する場合について見ていきましょう。この場合には状態方程式を用いることで簡単に問題を解くことができます。後半では複数の気体が混合された状態について解説していきます。この場合では分圧の概念を用いて解散する必要があり、やや難易度があがります。順番に理解していきましょう。
気体の四変数

気体の計算をする上では、4つの変数を扱うことが重要です。ここで言う変数とは、圧力・体積・物質量・温度のことです。これらの要素によって気体の状態を説明することができます。圧力はパスカルやアトムの単位で表され、気体分子が壁を押す力を指します。体積はリットルで表され、ここでは簡単に容器の体積に等しいものとしています。物質量の単位はモルで、容器内の気体分子の数を表します。最後に温度は気体分子がもつエネルギーを指し、単位はケルビンです。日常生活で馴染みのある℃と比較すると、273だけ大きな値で計算を行います。
気体の公式
ボイルの法則

実際に気体の計算で用いる公式について見ていきましょう。まずはじめに扱うのはボイルの法則で、密閉容器内で温度が一定な時に使うことができます。この場合では、気体の圧力と体積が反比例の関係となります。
シャルルの法則

次に、シャルルの法則について学習します。この法則は密閉容器に対して圧力が一定の場合に用いることができます。このとき、体積と温度が比例関係となります。温度の値については、必ず絶対温度(ケルビン単位)を用いるように注意しておきましょう。
ボイル・シャルルの法則

ボイルの法則とシャルルの法則を組み合わせてできるのが、ボイル・シャルルの法則です。この法則は、密閉容器に対して用いることができます。この法則によれば、(PV)/Tが常に一定になることが知られています。
状態方程式

公式として最後に扱うのは、状態方程式です。これまでに扱ったすべての法則を総合すると、この状態方程式にたどり着きます。状態方程式は、どんな状態の気体に対しても使うことができる万能の公式です。状態方程式によれば、気体はその種類によらずPV=nRTの関係をとります。ここで言うRは気体定数で、圧力の単位によって数値が異なりますが、値の変化しない定数として扱うことができます。
大気圧

気体の扱いを学習したところで、大気圧について見ていきましょう。大気圧とは、地表において存在する大気がもっている圧力です。大気も当然気体ですから、圧力をもっている訳です。
トリチェリーは、大気圧を測定する実験を行いました。水銀を浴に満たし、シリンダー内に水銀を入れたところで倒立させます。すると、水銀面にかかる大気圧と倒立した水銀柱の圧力がつりあい、大気圧は760mmの水銀柱がもつ圧力に等しいことが分かります。そのため、大気圧は760mmHgと表現されます。
気体の圧力は様々な単位で表現され、mmHgもその一つです。その他のatmやPaとの変換においては、760mmHg = 1atm = 1.0×105Paという変換式を用いるようにしましょう。
気体の分圧

最後に、混合気体の扱いについて学習していきます。複数の気体が混合されている場合には、分圧という概念を扱う必要があります。それぞれ個別の気体がもつ圧力を分圧、混合気体全体が持つ圧力は全圧と呼びます。すなわち、公式として(全圧) = (分圧の和)という形が成立します。
また、それぞれの気体において分圧を用いて状態方程式を立てることができます。例えば、気体Aと気体Bが混合されているとき、状態方程式はPAV = nARTとなります。すべての気体についてこの関係を立てることができるので、(分圧比) = (モル比)という関係式を立てることができます。この関係式は混合気体の問題を解く上で多く使いますので、必ず覚えておきましょう。