このページのまとめ
- 酸・塩基の価数:酸が放出するプロトンの数、塩基が受け取るプロトンの数によって決まる。1価、2価などの分類がある。
- 酸・塩基の強弱:強酸・強塩基はほぼ完全に電離し、弱酸・弱塩基は部分的にしか電離しない。
- 酸や塩基の価数や強弱によって、反応の進行や影響が異なる。
~先生と生徒の会話~

酸と塩基の価数や強弱について、あまり詳しく知らないんですが、これらはどうやって決まるんですか?



良い質問だね!まず、「価数」というのは、酸や塩基が反応中に放出または受け取るプロトン(H+)や水酸化物イオン(OH−)の数を指しているんだよ。酸の価数は放出できるプロトンの数、塩基の価数は受け取ることができるプロトンの数で決まるんだ。



例えば、塩酸(HCl)は1つのプロトン(H+)を放出することができるので、これは1価の酸ということになる。一方、硫酸(H2SO4)は2つのプロトンを放出するから、2価の酸として分類されるんだ。同様に、塩基も水酸化ナトリウム(NaOH)は1価の塩基で、バリウム水酸化物(Ba(OH)2)は2価の塩基になる。



ああ、価数っていうのは放出するプロトンや水酸化物イオンの数によって決まるんですね!酸や塩基がどれくらい反応に関わるかがわかりますね。



その通りだよ!価数を知ることで、どれくらいの量の反応が起こるかや、どれだけ中和反応に寄与するかがわかるんだ。例えば、2価の酸や塩基は1価のものよりも多くのイオンを放出するから、反応の影響が大きいんだよ。



でも、酸や塩基の強さっていうのは、価数とは別にありますよね?それはどうやって決まるんですか?



そうだね、酸や塩基の「強弱」は、その物質がどれくらい電離するか、つまりどれくらいの割合でプロトンや水酸化物イオンを放出するかによって決まるんだ。例えば、強酸は水中でほぼ完全に電離して、すべてのプロトンを放出するんだ。塩酸(HCl)や硝酸(HNO3)は強酸の例だね。



一方で、弱酸は水中で部分的にしか電離しないんだ。酢酸(CH3COOH)は弱酸の代表例で、水に溶けてもすべてのプロトンを放出するわけではないんだよ。



じゃあ、強酸や強塩基はほぼ完全に電離するけど、弱酸や弱塩基は一部しか電離しないってことですね。塩基の場合も同じ考え方なんですか?



そうだよ!強塩基は水中でほぼ完全に水酸化物イオン(OH−)を放出するんだ。例えば、水酸化ナトリウム(NaOH)や水酸化カリウム(KOH)は強塩基だね。これらは溶けた瞬間にすぐにイオン化して、ほぼすべての水酸化物イオンを放出するんだ。



一方、アンモニア(NH3)のような弱塩基は、水に溶けても一部しかプロトンを受け取らないんだ。だから、強塩基に比べると反応が穏やかなんだよ。



なるほど!強酸・強塩基はすぐに反応して強い影響を与えるけど、弱酸・弱塩基はゆっくりと反応するんですね。



その通り!これが酸や塩基の強さの違いなんだよ。強酸や強塩基は反応がすぐに起こるから、化学実験や工業プロセスで扱うときには注意が必要なんだ。一方で、弱酸や弱塩基は比較的扱いやすいんだよ。
例題&解答
【例題1】次の酸と塩基の価数を答えなさい。
1. 酢酸(CH3COOH)
2. 硫酸(H2SO4)
3. 水酸化カルシウム(Ca(OH)2)
1. 酢酸は1価の酸(1つのプロトンを放出する)。
2. 硫酸は2価の酸(2つのプロトンを放出する)。
3. 水酸化カルシウムは2価の塩基(2つの水酸化物イオンを放出する)。
【例題2】次の酸や塩基が強酸・強塩基か、弱酸・弱塩基かを分類しなさい。
1. 硝酸(HNO3)
2. アンモニア(NH3)
- 硝酸は強酸(水中でほぼ完全に電離する)。
- アンモニアは弱塩基(水中で部分的にしか電離しない)。