【高校化学/理論化学】ルシャトリエの原理を8分で解説!

このページのまとめ

  • ルシャトリエの原理は、外部からの条件変化に対して、化学平衡がその変化を打ち消す方向に反応することを示す。
  • 濃度が変わると、システムはその変化を打ち消すために逆方向に反応が進む。
  • 温度や圧力の変化も反応に影響を与え、温度が上がると吸熱反応が進み、圧力が上がると気体の分子数が少ない方向に進む。

~先生と生徒の会話~

生徒

化学平衡についてはだんだん理解できてきたんですが、反応のバランスが外部からの影響で変わることがあると聞きました。それが「ルシャトリエの原理」と関係しているんですか?

先生

そうだね!「ルシャトリエの原理」は、外部からの変化に対して化学平衡がどのように反応するかを説明する法則なんだ。簡単に言うと、外部からの条件(圧力、温度、濃度など)の変化が加わると、反応はその変化を打ち消す方向に進もうとするんだ。つまり、システムは外部の変化に対応してバランスを保とうとするんだよ。

生徒

なるほど!バランスが崩れると、それを元に戻そうとする力が働くんですね。具体的にどういうことが起こるんですか?

先生

例えば、反応物の濃度が増えた場合を考えてみよう。この場合、反応はその濃度の増加を打ち消そうとして、反応物を消費する方向、つまり生成物を作る方向に進もうとするんだ。逆に、生成物の濃度が増えた場合は、生成物が反応物に戻る反応が進みやすくなる。これがルシャトリエの原理の基本的な考え方なんだ。

図1 ルシャトリエの原理
生徒

じゃあ、濃度だけじゃなくて、温度や圧力でも反応が変わるんですか?

先生

そうだよ!温度や圧力もルシャトリエの原理の影響を受けるんだ。例えば、吸熱反応(エネルギーを吸収する反応)の場合、温度を上げると反応は進みやすくなるんだ。これは、温度が上がると、吸熱反応がそのエネルギーを吸収して進もうとするからなんだ。逆に発熱反応(エネルギーを放出する反応)では、温度を上げると反応が逆方向に進みやすくなるんだよ。

生徒

温度も関係してくるんですね!じゃあ、圧力の場合はどうですか?

先生

圧力も重要な要因の一つだね。特に気体が関わる反応では、圧力が反応に大きな影響を与えるんだ。例えば、反応の前後で気体の分子数が変わる場合、圧力が上がると分子数が少ない方向に反応が進むことが多いんだ。逆に圧力が下がると、分子数が多い方向に進みやすくなる。これは、システムが圧力の変化を打ち消そうとするためなんだ。

生徒

分子数が少ない方向に反応が進むんですね。例えば、アンモニアの合成反応とかもそうですか?

先生

そう、その通りだよ!アンモニアの合成反応(ハーバー・ボッシュ法)は、窒素と水素が反応してアンモニアを生成する反応だけど、この反応では気体の分子数が減るから、圧力を高くすると反応が進みやすくなるんだよ。だから、この反応では高圧をかけてアンモニアを効率的に生成するんだ。

生徒

なるほど!圧力を変えることで反応の進み方をコントロールしているんですね。ルシャトリエの原理って工業的にもすごく使われているんですね。

先生

そうだね、工業的にはこの原理を使って反応を最適化することが多いんだよ。条件を変えることで、より多くの生成物を効率的に得ることができるから、化学産業では非常に重要な法則なんだ。


例題&解答

【例題1】次の反応において、温度を上げると反応はどちらの方向に進むかを説明しなさい。
A+B⇌C+D ΔH=+100kJ/mol

この反応は吸熱反応であるため、温度が上がるとエネルギーが吸収され、反応は生成物側(右方向)に進みます。

【例題2】次の気体反応において、圧力を上げると反応はどちらの方向に進むか説明しなさい。
N2​(g)+3H2​(g)⇌2NH3​(g)

この反応では、反応前の分子数が4(1 + 3)、反応後が2なので、圧力を上げると分子数が少ない方向、つまり生成物側(右方向)に反応が進みます。

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この記事を書いた人

京都大学工学部工業化学科卒業。
過去に某有名学習塾にて化学科講師として勤務。対面授業,オンライン授業共にのべ2000人以上の生徒を指導し,多くを東大・京大・国公立医学部へ排出。