【高校化学/理論化学】CODを8分で解説!

このページのまとめ

  • COD(化学的酸素要求量)は、水中に含まれる有機物がどれだけの酸素を消費するかを測定する指標。
  • 二クロム酸カリウムを使った酸化反応で、有機物の量を効率的に測定。
  • 水質管理や工場排水の処理、飲料水の品質管理に役立つ。

~先生と生徒の会話~

生徒

COD(化学的酸素要求量)という言葉をよく聞くんですが、具体的に何を測っているんですか?

先生

CODは「Chemical Oxygen Demand」の略で、水中に含まれる有機物がどれだけの酸素を必要とするかを示す指標なんだ。簡単に言えば、水中の汚染の度合いを測るために使われる指標で、特に水中の有機物質がどのくらい多いかを調べるために使われるんだよ。これによって、川や湖などの水質を管理するための重要なデータが得られるんだ。

生徒

なるほど、有機物がどれだけ酸素を消費するかを測るんですね。具体的にはどうやってCODを測定するんですか?

先生

CODを測定するには、酸化剤を使って水中の有機物を酸化させ、その際に必要な酸素の量を計算するんだ。たとえば、一般的な方法では二クロム酸カリウム(K₂Cr₂O₇)が使われるよ。水中の有機物がこの酸化剤と反応して酸化されると、二クロム酸イオン(Cr₂O₇²⁻)がクロムイオン(Cr³⁺)に還元される。このときの酸化剤の消費量を基にして、どれだけの酸素が必要だったかを計算するんだ。

生徒

酸化剤を使って反応させるんですね!でも、なぜ酸素を使わないで二クロム酸カリウムを使うんですか?

先生

それは、二クロム酸カリウムの方が強力な酸化剤で、反応が確実に進むからなんだよ。自然の状態で酸素が水中で有機物を分解するのには時間がかかるけど、二クロム酸カリウムを使えば短時間で酸化が進む。これによって、素早く正確に水中の有機物の量を測定することができるんだ。

生徒

水中の有機物の量を効率よく測るために強力な酸化剤を使っているんですね。それって水質管理にはどう役立っているんですか?

先生

CODは水質管理の指標として非常に重要なんだ。たとえば、川や湖の水がどれだけ汚染されているかを評価するためには、どれだけの有機物が水中に含まれているかを知る必要があるよね。CODが高い場合、それは水中に多くの有機物が含まれていることを意味し、酸素が不足して魚などの生物が生息しにくくなる可能性がある。逆に、CODが低いと水質が良好で、酸素が十分に供給されている状態を示しているんだ。

生徒

つまり、CODを測ることで、水がどれだけ汚染されているかが分かるんですね!他に何かCODが使われている場面はありますか?

先生

そうだね、CODは工場の排水や下水の処理にも使われているよ。工場や家庭から出る汚水には多くの有機物が含まれていることがあるから、それが河川や海に流れる前に適切に処理されているかを確認するためにもCODが利用されるんだ。また、水道水や飲料水の品質管理にも重要な指標となっているんだよ。


例題&解答

【例題1】
COD測定に二クロム酸カリウムを使用した際、0.001 molの二クロム酸イオンが反応した。このとき、酸化された有機物の量を求めなさい。

【解答】

反応式: Cr₂O₇²⁻ + 14H⁺ + 6e⁻ → 2Cr³⁺ + 7H₂O
1 molのCr₂O₇²⁻で6 molの電子が放出されるため、0.001 molのCr₂O₇²⁻では0.006 molの有機物が酸化されたことになる。

【例題2】
工場排水中の有機物量をCODで測定したところ、10 mg/Lの酸素消費量が記録された。この排水が河川に流れ込んだ場合、水質にどのような影響を与える可能性がありますか?

【解答】

10 mg/LのCODは、水中に多くの有機物が含まれていることを示しており、酸素が消費される可能性が高い。結果として、酸素不足が生じ、魚や他の水生生物が生息しにくくなる可能性がある。

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この記事を書いた人

京都大学工学部工業化学科卒業。
過去に某有名学習塾にて化学科講師として勤務。対面授業,オンライン授業共にのべ2000人以上の生徒を指導し,多くを東大・京大・国公立医学部へ排出。