このページのまとめ
学習のポイント
- アルミニウムは天然にはボーキサイト中に多く含まれ、融解塩電解などの操作を経て単体が生成される。
- アルミニウムは両性元素の代表的な物質である。
- 鉄にスズをメッキしたものをブリキ、亜鉛をメッキしたものをトタンと呼ぶ。
まとめノート

このページでは,両性元素の性質について解説していきます。両性元素とは,単体・酸化物・水酸化物それぞれが酸とも塩基とも反応する元素です。今回は主にアルミニウムに関して,製法や性質を学習していきます。また,両性元素は様々な合金をつくるので,覚えていきましょう。
アルミニウムの製法
バイヤー法

アルミニウムの単体は,バイヤー法とホール・エルー法に分けて生成されます。まず初めにバイヤー法では,ボーキサイトからアルミナを生成します。具体的には,ボーキサイトを水酸化ナトリウム水溶液に溶解させて不純物を取り除きます。次に溶液を水で希釈することで水酸化アルミニウムを沈殿させて分離し,熱分解によって純粋な酸化アルミニウム(アルミナ)を得ます。
ホール・エルー法

ホール・エルー法では,アルミナを還元してアルミニウムの単体を生成します。ここで,アルミニウムはイオン化傾向が水素よりも大きいため,水素よりも還元されにくいです。そのため,水溶液中でアルミニウムイオンを還元することはできません。よって,融解塩を直接電気分解することでアルミニウムイオンを還元します。この際に加える氷晶石は凝固点降下により酸化アルミニウムの融点を下げる効果があります。また,極板の反応式は通常の電気分解と異なり,炭素が反応しています。
アルミニウムの性質
アルミニウムの化合物

アルミニウムはイオン化傾向が大きく,単体は容易に酸化されます。酸化力がある酸に対しては酸化被膜をつくって,不動態になることが知られています。アルミニウムの単体に人工的に薄い酸化被膜をつけたものはアルマイトと呼ばれ,日常ではアルミホイルにこの技術が用いられています。ちなみに不動態は,アルミニウムの他にも鉄・ニッケル・クロム・コバルトなどが形成しやすいです。

地殻中に含まれる元素の割合をクラーク数と呼びます。アルミニウムはクラーク数が大きく,近く中に多く存在していることが知られています。また,アルミニウムの単体は還元力が強く,他の金属の酸化物を反応します。このような反応はテルミット反応と呼ばれ,この反応により金属の単体を得る方法をゴールドシュミット法と呼びます。
アルミニウムを含む複塩に,ミョウバンがあります。ミョウバンは,水に硫酸アルミニウムと硫酸カリウムを加えることで生成されます。ミョウバンは錯イオン中の配位子が入れ替わって弱酸性を示すことが知られています。
アルミニウムの合金など

アルミニウムは,銅・マグネシウム・マンガンなどと合金を形成してジュラルミンとなります。ジュラルミンは軽くて丈夫なため,航空機の材料などに用いられています。また,酸化アルミニウムの結晶に不純物が混ざると,ルビーやサファイアとして産出します。
その他の両性元素の性質

ブリキとは,鉄の周囲にスズをメッキしたものです。イオン化傾向は鉄の方が大きいため鉄が優先的に酸化され,中身は酸化されますが外見は綺麗なまま保存されます。一方トタンは,鉄の周囲に亜鉛をメッキしたものです。イオン化傾向は亜鉛の方が大きく,外側の亜鉛が優先的に酸化されるため,外見は劣化しますが強度は保存されます。用途にあってメッキを使い分けることができます。
また,鉛とスズの合金をハンダと呼びます。ハンダは融点が低く,電子部品の溶接などに用いられています。