【高校化学/無機化学】ハロゲン化水素について9分で解説!

このページのまとめ

  • ハロゲン化水素は、ハロゲン元素(フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)と水素が結びついてできる化合物で、代表的なものにはフッ化水素(HF)、塩化水素(HCl)、臭化水素(HBr)、ヨウ化水素(HI)がある。
  • これらは酸性が強く、水に溶けると水素イオン(H⁺)を放出する。
  • 酸性の強さは、ヨウ化水素が最も強く、フッ化水素が最も弱い。特にフッ化水素はガラスを溶かすほどの強力な反応性を持つが、非常に危険なため、取り扱いには注意が必要である。

~先生と生徒の会話~

生徒

ハロゲン化水素って、ハロゲンと関係があるんですか?

先生

その通り!ハロゲン化水素は、ハロゲン元素(フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)と水素が結びついてできる化合物だよ。代表的なものには、フッ化水素(HF)、塩化水素(HCl)、臭化水素(HBr)、ヨウ化水素(HI)があるんだ。どれも「HX」と表記されるんだけど、Xにはフッ素(F)、塩素(Cl)、臭素(Br)、ヨウ素(I)が入るんだ。

生徒

なるほど!じゃあ、それぞれどんな特徴があるんですか?

先生

一番よく知られているのが塩化水素(HCl)だね。水に溶かすと「塩酸」になるんだ。塩酸は、胃の中にある胃酸の主成分でもあるんだよ。また、工業的にも広く使われていて、金属の表面処理や酸洗いなんかにも使われるんだ。

先生

フッ化水素(HF)は、フッ素と水素が結びついたものなんだけど、これは特に反応性が強くて、ガラスさえも溶かしてしまう性質を持っているんだ。だから、ガラスのエッチングや半導体の製造で重要な役割を果たしているよ。ただし、非常に危険な物質でもあるから、取り扱いには細心の注意が必要なんだ。

先生

臭化水素(HBr)とヨウ化水素(HI)は、どちらも酸性が強いけど、臭化水素は写真の現像に使われたり、ヨウ化水素は有機化学で還元剤として使われることが多いんだ。酸性の強さでは、ヨウ化水素が一番強く、次いで臭化水素、塩化水素、フッ化水素の順になるんだよ。

生徒

酸性が強いってどういうことですか?

先生

酸性が強いというのは、水に溶けたときにたくさんの水素イオン(H⁺)を放出するということだね。ハロゲン化水素は水に溶けると、次のような反応が起きて水素イオンを放出するんだ:

先生

HCl → H⁺ + Cl⁻ HI → H⁺ + I⁻

先生

この水素イオンが酸性のもとなんだ。水に溶けたとき、簡単にH⁺を放出するほど酸性が強いとされるんだよ。ヨウ化水素は最も水素イオンを放出しやすいから、酸性が一番強いんだ。

生徒

そうなんですね!じゃあ、塩酸とかフッ化水素を扱うときは危険なんですね?

先生

そうだね。特にフッ化水素(HF)は、ガラスさえも溶かしてしまうほど強力だし、皮膚に触れると非常に危険なんだ。だから、実験で使うときは必ず保護具をつけて、安全対策を徹底する必要があるんだよ。塩酸も強酸だから、取り扱いには十分な注意が必要だけど、濃度によっては比較的安全に使えることも多いんだ。

生徒

フッ化水素ってガラスを溶かすって聞きましたけど、どうしてそんなことができるんですか?

先生

それは、フッ化水素が非常に小さな分子で、しかもフッ素原子が非常に強い電気陰性度を持っているからなんだ。ガラスは二酸化ケイ素(SiO₂)でできているんだけど、フッ化水素はケイ素原子と反応して、六フッ化ケイ素(SiF₆²⁻)という物質を作りながらガラスを溶かすんだ。この反応は非常に強力だから、フッ化水素はガラスの加工や半導体製造の現場で欠かせない存在なんだよ。

生徒

ガラスまで溶かせるなんて、すごいですね!でも、やっぱり危険なものなんですね。

先生

そうだね、フッ化水素は取り扱いに注意が必要な物質だけど、その強力な反応性を利用して、いろんな産業で重要な役割を果たしているんだ。塩酸も工業的に幅広く使われているし、臭化水素やヨウ化水素も、それぞれ特定の化学反応や製造プロセスにおいて欠かせない物質なんだよ。


例題&解答

【例題1】
ハロゲン化水素の中で、ガラスを溶かす性質を持つ物質はどれか?また、その理由を説明しなさい。

【解答】

フッ化水素(HF)はガラスを溶かす性質を持つ。これは、フッ素の強い電気陰性度により、二酸化ケイ素(SiO₂)と反応して六フッ化ケイ素(SiF₆²⁻)を生成するためである。

【例題2】
次のハロゲン化水素のうち、最も酸性が強いものを選びなさい。
フッ化水素(HF)
塩化水素(HCl)
臭化水素(HBr)
ヨウ化水素(HI)

【解答】

ヨウ化水素(HI)
ヨウ化水素は、水に溶けたときに最も水素イオンを放出しやすく、酸性が最も強い。

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この記事を書いた人

京都大学工学部工業化学科卒業。
過去に某有名学習塾にて化学科講師として勤務。対面授業,オンライン授業共にのべ2000人以上の生徒を指導し,多くを東大・京大・国公立医学部へ排出。