このページのまとめ
- ハロゲンは、フッ素(F₂)、塩素(Cl₂)、臭素(Br₂)、ヨウ素(I₂)、アスタチン(At)などがあり、非常に反応性の高い元素群です。
- これらは単体で存在するとき、フッ素や塩素は気体、臭素は液体、ヨウ素は固体として存在します。
- それぞれ、酸化剤として利用されることが多く、消毒や工業製品の製造などに使われています。
- また、アスタチンは放射性元素であり、日常生活ではほとんど使われていません。
~先生と生徒の会話~

ハロゲンって聞いたことあるんですが、どんな元素なんですか?



ハロゲンは、周期表の17族に属する元素で、フッ素(F)、塩素(Cl)、臭素(Br)、ヨウ素(I)、アスタチン(At)が代表的だよ。これらは非常に反応性が高くて、酸化力が強いことが特徴だね。化学反応でよく使われるし、日常生活でも身近な物質として存在しているんだ。



酸化力が強いってどういうことですか?



酸化力が強いというのは、他の物質から電子を奪いやすいということなんだ。ハロゲンは、1つ電子を受け取って安定する性質を持っているから、他の元素や化合物から電子を奪って、化合物を作りやすいんだ。だから、酸化剤としてよく使われるんだよ。



なるほど!でも、ハロゲンの「単体」ってどういうものですか?



単体というのは、化合物ではなく、その元素そのものが単独で存在している状態のことだよ。ハロゲンの単体は、いずれも分子として存在していて、例えばフッ素や塩素は2つの原子が結びついて「F₂」や「Cl₂」という分子を作っているんだ。それぞれ、常温常圧ではフッ素と塩素は気体、臭素は液体、ヨウ素は固体という違いがあるんだよ。



え、同じハロゲンなのに、状態が違うんですか?



そうなんだ。これは、分子の間に働く「ファンデルワールス力」っていう力の強さの違いによるんだよ。フッ素は非常に軽くて、分子間の引力が弱いから気体になるけど、ヨウ素は分子が重く、分子間の引力も強いから固体になるんだ。臭素はその中間で、常温で液体として存在しているんだ。



それぞれのハロゲンってどんな性質を持っているんですか?



フッ素(F₂)は、ハロゲンの中で最も反応性が高く、非常に危険な元素だよ。金属はもちろん、ほとんどの物質と激しく反応するんだ。例えば、鉄(Fe)やガラスとも反応するんだよ。だから、フッ素は特別な装置で扱う必要があるんだ。



塩素(Cl₂)は、消毒剤としてよく使われるよね。水道水の消毒やプールの消毒に使われているのはこの塩素だよ。塩素は水に溶けると「次亜塩素酸」という強力な酸化剤を作って、細菌を殺すんだ。



臭素(Br₂)は、茶色の液体で、有毒なガスを発生するんだ。臭素は水にはあまり溶けないけど、有機溶媒にはよく溶けるんだ。例えば、化学実験での有機反応で使われることが多いんだよ。



ヨウ素(I₂)は固体で、独特の紫色をしているんだ。ヨウ素は水には溶けにくいけど、エタノールにはよく溶けるんだ。ヨウ素チンキって聞いたことある?これは、ヨウ素をエタノールに溶かしたもので、消毒に使われるんだ。



それぞれ、状態も性質も違うんですね!ところで、ハロゲンって何に使われているんですか?



ハロゲンは実生活でも非常によく使われているんだ。例えば、塩素は水の消毒や、プラスチック(PVCなど)を作るのに使われている。フッ素は、フッ化物として歯磨き粉に入っていて、虫歯予防に役立っているんだ。ヨウ素は消毒薬として、ヨウ素チンキがよく知られているよ。また、ヨウ素は甲状腺ホルモンの材料としても体に必要な成分なんだ。



実験や医療の場面でも大活躍なんですね!そういえば、アスタチンってあまり聞かないんですけど、どんな元素なんですか?



アスタチン(At)は、ハロゲンの中でも最も重い元素で、放射性元素なんだ。自然界にほとんど存在せず、ごく微量しか得られないので、実験や応用が限られているんだよ。だから、日常的にはほとんど触れることがないんだ。
例題&解答
【例題1】
ハロゲン元素の単体のうち、常温で液体として存在するものを答えなさい。
【解答】
臭素(Br₂)は常温で液体として存在するハロゲン元素である。
【例題2】
ヨウ素(I₂)をエタノールに溶かした溶液が医療で使用されることがあります。この溶液の名称を答えなさい。
【解答】
ヨウ素をエタノールに溶かした溶液は「ヨウ素チンキ」と呼ばれ、消毒薬として使用される。