このページのまとめ
- 希ガス(貴ガス)は、周期表の18族に属する元素で、化学的に非常に安定しており、ほとんど他の元素と反応しない。
- これらのガスは、最外殻電子が満たされているため、安定な電子配置を持っている。
- 希ガスには、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、ラドンがあり、風船の充填、ネオンサイン、溶接、照明、放射性温泉など、さまざまな用途に利用されている。
~先生と生徒の会話~

希ガスって、あんまり聞いたことないんですが、どんなものなんですか?



希ガスは、周期表の18族に属する元素で、別名「貴ガス」とも呼ばれることがあるよ。代表的なものにヘリウム(He)、ネオン(Ne)、アルゴン(Ar)、クリプトン(Kr)、キセノン(Xe)、ラドン(Rn)などがあるんだ。これらの元素は、どれも化学的に非常に安定していて、ほとんど他の元素と反応しないという特徴があるんだよ。



反応しないって、どうしてですか?



希ガスは、最外殻電子(電子が収まっている外側の殻)がすでに満杯の状態になっているんだ。この状態を「安定な電子配置」と呼んでいて、これ以上、電子を失ったり得たりする必要がないんだよ。だから、他の元素と結びついて化合物を作ることがほとんどないんだ。まさに「化学的に安定」ということだね。



なるほど、他の元素とは違って、ほとんど反応しないんですね!それって、日常生活でどんなところに使われているんですか?



実は、意外と身近なところで使われているんだよ。例えば、ヘリウムは風船を膨らませるときや、深海ダイビングの酸素ボンベに使われている。ヘリウムは非常に軽いし、酸素と混ぜて使うと安全だからね。それから、ネオンは「ネオンサイン」に使われているんだ。ネオンガスに電気を流すと、赤く輝くんだよ。アルゴンは溶接のときに使われることが多いし、キセノンは自動車のヘッドライトに使われているんだ。





えー、ネオンサインって希ガスを使ってるんですね!全然知らなかったです。他にもおもしろい使い方とかありますか?



他にもたくさんあるよ。例えば、クリプトンは高性能の照明やカメラのフラッシュに使われているし、キセノンもフラッシュランプやプロジェクターの光源に使われているんだ。希ガスは、反応しにくいからこそ、電気を通しても安全に使えるという利点があるんだよ。また、ラドンは放射性の希ガスで、これが地中から少しずつ漏れ出すことがあるんだけど、特にラドン温泉として知られているね。



ラドン温泉って、放射性なんですか?ちょっと怖いですね…。



確かに、ラドンは放射性だから長時間大量に吸い込むと危険だけど、温泉に含まれる程度の微量のラドンはむしろ健康に良いとされているんだ。リラクゼーションや血行促進の効果があると言われているね。ただ、やはり扱いには注意が必要なんだ。



なるほど、それで温泉に使われてるんですね。希ガスってどこから取れるんですか?



ほとんどの希ガスは、空気中にわずかに含まれているんだ。例えば、アルゴンは大気中に約1%含まれているから、空気を液化して分留することで取り出すことができるよ。他の希ガスも同じように、空気から分離して集めるんだ。ヘリウムだけは、天然ガスの中に含まれていることが多いから、天然ガスの採掘とともに得られるんだよ。
例題&解答
【例題1】
希ガスが化学的に安定している理由を説明しなさい。
【解答】
希ガスは、最外殻電子が満たされた安定な電子配置を持っているため、他の元素と結びついて化合物を作る必要がない。そのため、化学反応をほとんど起こさない。
【例題2】
次のうち、ネオンサインに使用される希ガスはどれか?
ヘリウム
ネオン
アルゴン
【解答】
ネオン
ネオンは、ネオンサインで使用され、電気を通すと赤い光を放つ。